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2020年6月14日日曜日

○○女子というくくりは必要なのか

中学のはじめに大河ドラマの天地人(※余談1)が流行ったころ、同時に「歴史女子=歴女」というワードが世間に浸透してきた。私は当時から歴史が好きだったこともあり人から「歴女」と呼ばれることが多かった。

歴史が好きなだけなのに、何故か性別でカテゴライズされることに対して憤りを感じ、当時は歴女と言ってきた相手には怒っていた。今でも○○女子というワードは個人的に苦手である。ただ、当時は言葉を表現することが苦手なので、今となってはその言葉はただただ感情的であったかもしれないけれど。

疑問が大きく膨れ上がり自分に対して困惑していき、ある時から数年ほどネットでは男性のふりをし続けていた(※余談2)。その時に男性と会話するうえでは女性であることを知られるとクソ面倒くさいことが分かったのと、同時に女性は特に男性と会話をする上で既婚男性に対しては女性と会話するときと同じようなテンションで会話してくれることが分かった。500人の相互フォローさまたちのおかげである。

私が「僕」という一人称を使い始めたのもちょうどその頃からだった。女性であるというだけで括り付けられることが本当に嫌いだった。高校時代に性同一性障害の知り合いができ、彼女から様々な話を聞いていくと性別についてのあいまいさについて考えることとなる。正直にこのタイミングから性別そのものに対しての疑問が大きかった。今も性別に対しての疑問はぬぐえない。

その疑問を抱えたまま、高校と大学は情報系を突き進んでいた。高校時代はSTAP細胞の小保方さんにより「理系女子=リケジョ」というワードが流行り、それも嫌な感じの言い方であることがニュアンスでわかるようなものであった。結局、STAP細胞問題で小保方さんの理系女子というものが馬鹿にされ始めていく風潮がどんどんと出てくるにつれ、女性でくくる現状に吐き気を催すくらいの嫌気がさした。あの時はSTAP細胞と小保方さんの問題であって、理系にいる女性がすべて問題を起こすと思われているのかと突っ込みたくなるような流れであった。

大学は「情報系の女性が少ない事実」を目の当たりにしてから、同時に情報系の男性の一部で嫌なことが自分の周りでも起きた。誰とは言わないけれど女性であるというだけで舐められているのと、彼からすれば性欲の対象なのであろうということを感じて「女性らしい格好をする」ことが危険なのではないかと思わせてくる人もいた。危機感を覚えてかりそめの恋人を作るなど、本当にどうしてこんなことをしなければならないのだと思うことが多かった。

???「どうせ、あんたは色んな人と遊んできたんだから、それこそ俺と一夜遊んでも何も減らないでしょ?付き合ってくれてもいいのにどうして?」

これ、告白(笑)で言われた発言で、そこから人に対しての好意をずっと考えては葛藤する次第。自分は人に好意を持ったりそれを伝えたりなどして自分が好意をぶつけた相手を傷つけることはしたくないと思うきっかけとなった言葉である。女性らしさを減らせば彼らは寄ってこない。女性らしい格好をしたいとは思うけど、同時に女性らしい格好をすることで寄ってくる人間が気持ち悪くて仕方がない。

多分彼は次に進んでいるでしょう。自分は傷ついたけど、振った相手からは「傷ついたことすらもお前は女性なんだからエンジニアの出会いが多いんだし耐えろ」という感じできつかったなとは。それ以外にも女性であると人として仲良くすることが難しいのであろうかと考えることが何件か起きてしまい、そこから性別への嫌悪感が生まれ始めた。

なのに、色んな所で「セキュリティ女子!」といわれ、女子……と思うにつれ、どんどんと自分の肉体と精神が離れていく。セキュリティの活動を行っている女性が少ないことは承知しているけれど、女子とくくられることで、更に希少性みたいなそういうジャッジをされて変な人が寄ってくるのではないかと思う。

なぜ好きなことをしているだけで知らん人からジャンル分けされてなきゃいけないんだ。美術館に行っても「美術館女子」、歴史スポットで勉強していても「歴史女子」、情報系の勉強会に行っても「○○女子」…私が男性だったらよかったのか?

時代遅れな考えを掘り起こせば「学ぶことや知ろうと思うことは男性の特権だったのに、それについて触れようとする女性は云々」ってことなのか?

○○女子というワードでくくられているジャンルでその○○女子にすり寄る男が現れて大変だというニュースを見ると、その懸念が現実になっているのだろうと思えて悲しい。なので、世間の○○女子という人は○○女子の当事者の悲しい気持ちを何とか理解していただけると嬉しい。

「○○女子というけれど自衛はお前が勝手にやってろ。変な男が来てもソレで傷ついたとしても全部自己責任」だと、好きなことをして生きるために覚悟を決めないといけないのがしんどい。

余談


余談1:天地人とは越後国出身の米沢藩の上杉家の家臣である直江兼続が主人公の大河ドラマ。関ケ原の直接要因となった直江状の送り主。直江状は直江兼続の頭の良さから出てくる皮肉がきいててすごい。

余談2:2011年から2016年までtwitterで開設していた。今でもGoogleアカウントで名残のあるYoshihiroという名前。鹿児島県在住の40代の既婚歴史好きのエンジニア男性のふりをしていた(※島津義弘だったら…みたいなことを考えた結果がこの設定である)。一人称が僕。男性性のアピールが難しかったため、架空の奥さんののろけを書くなどした絶妙におかしなアカウントである。Yoshihiroという人間としてかけていたので、割と性別関係なしに人とつながれていたのでとても楽しかった。ただこのアカウントは2016年の熊本地震の際に親から「人を心配させるな」と怒られたのでやめたが………